2008/05/30

グリーンIT

コンピュータの省エネルギー化を目指す非営利団体「クライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブ(CSCI)」
CSCIは,米グーグルや米インテルを中心に,大手IT企業やWWF(世界自然保護基金)などが参加して2007年6月に設立された。 2つのことにフォーカスしている。1つはコンピュータ本体(PCやサーバー)の電力効率の改善であり,もう1つは電源管理の推進だ。これだけでも非常に大きな効果が期待できる。具体的には,2010年までには5400万トンの二酸化炭素を削減できるとみており,これは自動車を毎年1100万台削減するのと同じ効果がある。 コンピュータの中でも特に問題なのは,デスクトップPCだ。驚くべきことに,コンセントから供給される電力のうち実に50%が,プロセサやメモリーなどに到達する前に消失する。サーバーはもっと効率的だが,失われた電力は熱となるので,これを冷却するという非効率が生じる。電源管理はユーザーの責任が大きい問題だ。ノートPCはバッテリ駆動なので,スリープモードなどの省電力機能がよく使われるが,デスクトップPCでは,ほとんどのユーザーが電源管理機能を使っていない。
「グリーンIT」に対して政府は何をするのか
一つはIT機器自体の省エネ化。「日本のメーカーは,これまで省エネに対してさまざまな努力をしてきた。例えば,家電製品のエネルギー消費はこの10年間で4~5割削減されている」。これを,さらに進めていこうという考え方だ。もちろん,企業のITシステムに対する期待も大きい。「光スイッチによる光交換システムを使うことで,通信にかかる電力は100分の1になるという計算もある」もう一つの考え方は,ITを活用して社会活動の省エネ化を実現していこうというもの。「例えば,工場にエネルギーの最適管理システムを導入して,エネルギー消費を20%削減した企業もあるし,エアコン冷却水の循環方式を制御することにより,7~9割のエネルギー・カットを実現するシステムを開発した企業もある」。このIT機器自体の省エネ化とITによる社会活動の省エネ化を2本柱として,日本のグリーンITを進めていくというのが政府の立場だとした。 経産省とグリーンIT推進協議会が協力して試算した数値によると,日本においてグリーンITを推進することによって,2025年までに,年間の電力消費量が社会活動の省エネ化により約4900億kWh,IT機器の省エネ化により約1000億kWh削減できるという。合計すると2025年に約5900億kWhの電力消費削減だ。さらに世界でみると,それぞれ11兆kWh,1।9兆kWhの削減見通しになるという。「これをきちっとした目標に掲げて,それぞれの立場で,それぞれの分野の省エネに取り組んでいかないといけない」
政府の役割
(1)研究開発分野での支援 (2)省エネに関する技術や製品の普及活動 (3)貢献を数字でチェックするための指標作り (4)海外機関との連携強化の4点を挙げた。このうち(1)の研究開発支援は「グリーンITプロジェクト」です。「例えば,データセンターの消費電力を3割以上削減するための研究開発や,ルーターなどのネットワーク部分で3割以上の省電力を目指す研究開発,ディスプレイの消費電力を半分にする研究開発などを進めていきたいと考えている」。

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